児童文学研究会「まほうのえんぴつ」さんより、同人誌「まほうのえんぴつ」第38号をいただきました。詩、創作、エッセイ、本の紹介、体験レポートとバラエティ豊かな内容。
創作は、「次は、公園通り」小さなお話だったが、ディティールがしっかりしていて読みやすい作品。電車が効果的に描かれ、乗り降りの乗客とともに雰囲気が変化していく。札幌の電車の路線図がわかる人には楽しみも実感もともなって読めるだろう。家族の喪失感ややり場のない気持ちが伝わってきて切ない気持ちになる。
「テツ」こちらも環境の変化に適応すべく、外から見るとわからない行動をとってしまう子どもの心情が行動として出ていて読ませる作品。
今回はエッセイが良かった。素直に自分の心を吐き散らすだけでない、どこか上品でいやな気持ちにならない清々しいものだった。エッセイは客観的に文章を見る力がないとただの老害になってしまう向きがあるが、この会の書き手は、そういうところがない。なんだろな、ギリギリのバランスなんだろうか。読者がいるということをしっかり踏まえたいい文章だった。
おもしろかったのは、体験レポート。東京マラソンに出場した体験をイラストを交えて紹介している。臨場感があり、全体に楽しそうな雰囲気で読ませられた。イラストも見やすく、書き文字も読みやすくて、コミックエッセイも行けそう。なポテンシャルの高いもの。
「まほうのえんぴつ」は、同人誌のなかでもしっかり読ませてくれるものが多く、練り込まれている感がある。