児童文学研究会まほうのえんぴつさんより「まほうのえんぴつ」第39号をいただきました。詩、創作、エッセイ、絵本、本の紹介、書評など、それぞれの表現にあわせた発表方法で言葉を紡いでいる。
意欲作は、イノウエエリコさん「S・H・K・D」新型コロナウィルス感染症の世の中を子どもの目線で描いた作品。素直な気持ちがよく表現されており、見えないウイルスに不安なこと、わからない戸惑い、人間関係などがきちんと描かれていた。しかし、何度読んでもタイトルの意味が理解できず、残念。最初のハードルは低く。
そして、升井純子さんの「ねじ」正直、ここ数年の升井作品のなかではダントツに良かった。児童文学のカテゴリから外れるかも知れないが、深みや奥行きがあり、登場人物たちのキャラからにじみ出る会話も自然ですんなり入り込むことができた。物語は緩やかに進行していくが、テンポよく緩急があり読み応えがあった。
どの作品もさすが老舗の同人誌だけあり、それぞれの力量が光るものだった。
コロナ渦で集まって合評会ができないなか、その過程も見せたことで、今号は今年発刊することに意味があった。冊子としてできあがったことで達成感もひとしおだったであろう。
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